エントリー総数7,439。好天に恵まれた熱戦を振り返る。-2021-22シーズン関西シクロクロス。
10月の終わりから2月初旬まで全11戦に及び関西各地を転戦した関西シクロクロス。老若男女合わせ、延べエントリー数は約7500人。大勢のシクロクロスファンが、年末年始の忙しない時期も関係なくシケインを駆け抜けた。前シーズンは奇しくも全戦開催にはならず、総合表彰無く終わったが、2021-22シーズンは全日程を終了。カテゴリー1、L1のシーズンを振り返る。
昨シーズンもオープン参加で上位陣を脅かしていた副島達海(Limited Team 846)と柚木伸元(朝明高校)。今シーズン、カテゴリー1の60分を走る事になった副島達海(Limited Team 846)が開幕の富田林から独走勝利を飾る。まだジュニアと思い込んでいただけに、序盤のリードからそのまま60分を見事に独走したのには驚いた。開幕戦富田林ではL1に赤松綾(Ayabikes)が登場。昨季まで主戦場を東海シクロクロスとしていた赤松綾(Ayabikes)は関西シクロクロスに基盤を移し、シーズンを迎えた。しかし、カテゴリー1同様L1でもオープン参加の中学生、西原夕華(トーヨーサイクリングチーム)と日吉愛華(Limited Team 846)がレースを作った。
ここから千秋楽の桂川戦まで、シーズンを通して若い層が関西シクロクロスのレースシーンを盛り上げていく事になる。
第2戦の向山ゆずの里 美山では他会場参戦の副島達海(Limited Team 846)が欠場。カテゴリー1はベテランの村田憲治(岩井商会レーシング)、U23堀川滉太(NEBcycling)にシクロクロスレース2シーズン目の岸央展(Baggy racing cyclocross)がデッドヒートを繰り広げた。短いホームストレートを最後は3人でスプリント。負けず嫌いな村田憲治(岩井商会レーシング)がベテランの意地を見せ優勝した。L1ではここ向山ゆずの里 美山でも西原夕華(トーヨーサイクリングチーム)が善戦。シリーズチャンピオンとなる伊藤あすみと互角に戦う姿が見られた。
通常の日曜~日曜のブランクを開けずに、火曜~日曜と中4日での開催を迎えた第4戦田中養蜂場 堺浜。かつて、全日本選手権も行われた高速コースではロードレースさながらの集団による上位争いが繰り広げられた。
ここ数年は野辺山と前後して行われ、多くの観客も訪れたマキノ大会。今季は全日本選手権の前週開催という事で、静かな大会ではあったが久しぶりに愛媛県から村上功太郎(松山大学/TOYO FRAME)が参戦。U23初年度の副島達海(Limited Team 846)とU23最終年となる村上功太郎(松山大学/TOYO FRAME)の一騎打ちに。まだシーズンインして間もない村上功太郎(松山大学/TOYO FRAME)が苦戦する中、勢いに乗る副島達海(Limited Team 846)が優勝し、翌週の全日本選手権を迎えた。
関西シクロクロスは出展も充実。
全11戦。延べエントリー数で約7500人を誇る関西シクロクロスシリーズは協賛企業にとっても楽しめるイベントだ。
自身もカテゴリー2に出走し、参戦も楽しむ前田製菓の前田さん。プロテインクッキーのWay to Go の発売を機に、関西シクロクロスへの協賛を始め観戦、参戦のお供に今では欠かせない存在となった。「出展をするようになり、メーカーの立場としては聞くことができなかった、消費者の声をダイレクトで聞く事ができ、製品へのフィードバックに活かしている。」と語る前田さん。「もうちょっと固い方がいい」などの生の声を聞く場として有効に活用している。観戦には定番のあたり前田のクラッカーと、寒い時にはチョコレートサンド、ストロベリーサンドが食べ応えもあっておすすめという事だ。
2022年。後半戦に入り、徐々に昨シーズン同様の大会中止の不穏な空気が漂い始めたものの、希望が丘で今年も新春クロスが行われ、地元出身の沢田時(TEAM BRIDGESTONE Cycling)が優勝。序盤はジュニア全日本チャンピオンの柚木伸元(朝明高校)とバトルを繰り広げた。柚木伸元(朝明高校)の最終周、最終コーナーでのスリップダウンもあり最後は沢田時(TEAM BRIDGESTONE Cycling)に軍配が上がったが、MTBチームのプロライドで先輩後輩にあたる二人によるバトルは見ている者を大いに楽しませてくれた。


2022年に入り、ベスラ希望が丘とあたり前田のクラッカーみなと堺戦で全く良い所が無かった副島達海(Limited Team 846)だが、第10戦カルノパワー杯マイアミでは序盤、川村誠(チーム36隊)の復調に焦るも、中盤から落ち着いた走りで久しぶりの優勝。雲行きが怪しくなっていたシリーズタイトルに向けて良い結果を残した。


カルノパワー杯マイアミL1には烏丸以来の石田唯(早稲田大学)が参戦。西原夕華(トーヨーサイクリングチーム)、日吉愛華(Limited Team 846)のオープン参加の二人との接戦が見られた。今シーズン、残念ながら全日本選手権への参戦は無かったものの、JCX戦の幕張大会で優勝というシーズンを過ごした石田唯(早稲田大学)。食らいつくU17全日本チャンピオンの走りに称賛を送った。
副島達海(Limited Team 846)が初タイトル。
10月からのシーズンも10戦を終了し京都桂川で千秋楽を迎えた。序盤は副島達海(Limited Team 846)が独走。時々参戦の横山航太(シマノレーシング)がしっかりとした仕事をこなし、コンスタントに表彰台を獲得した堀川滉太(NEBcycling)がランキングでも2番手につける。序盤の不調から立て直した川村誠(チーム36隊)、美山で1勝を挙げた村田憲治(岩井商会レーシング)らが脇を固めた。最終戦、田中養蜂場桂川戦では竹内遼(FUKAYA RACING)にスプリントで先着されたものの、初のシリーズタイトルを収めた副島達海(Limited Team 846)。順調かに見えたシーズンも全日本選手権でのスリップダウン、年明けの不調と決してシーズンを通して満足の行くものではなかった。この春から大学進学を控え、これまでのオフロード主体の競技人生にトラック&ロードがプラスされる。心機一転のサマーシーズンを過ごし、来季どのような走りを見せてくれるか?サマーシーズンも含め、今から楽しみである。
上位陣でも異色だった、岸央展(Baggy racing cyclocross)。
昨シーズンから本格参戦し2シーズン目の今季、ランキング5位で終えた岸央展(Baggy racing cyclocross)。関西シクロクロスシリーズ外ではあるが、11月に行われた加古川シクロクロスではカテゴリー1で優勝、フロントローの常連としてシーズンを通して上位で走る姿を見ることができた。特に印象的だったのは、第2戦の美山戦。急な登り下りの区間では「怖い、怖い」を連呼しながら走り、最後はスプリントで村田憲治(岩井商会レーシング)、堀川滉太(NEBcycling)と争うという見事な走りっぷり。2シーズン目とは思えない存在感を見せた。
サングラスをかけるとマリアンヌフォスな伊藤あすみ。
第2戦柚子の里美山で初優勝。美山に似た特徴の信太山で2勝目を挙げた伊藤あすみが女子L1のタイトルを獲得した。シーズン後半は石田唯(早稲田大学)、西原夕華(トーヨーサイクリングチーム)に遅れをとるレースが続いたが、目立ったトラブルも無い安定感のある走りで初めてのタイトルとなった。下りのテクニックと度胸に、来季はパワーがプラスされるのを期待したい。
世代交代が進む関西シクロクロスシリーズ。
2021-22シーズン、バイキン賞を授与するとしたら、柚木伸元(朝明高校)と西原夕華(トーヨーサイクリングチーム)になるだろう。
シリーズ外の五條吉野川シクロクロスカテゴリー1、60分レースを走り独走で優勝。その後の本戦シリーズでも常に後方スタートからのバニーホップと文字通りのジャンプアップで上位を走った柚木伸元(朝明高校)。昨シーズンは果たせなかった全日本選手権ジュニアタイトルを獲得した後は沢田時(TEAM BRIDGESTONE Cycling)、横山航太(シマノレーシング)と争うなどの成長をアピール。高校3年生となる2022シーズンはU23での活躍が楽しみだ。
西原夕華(トーヨーサイクリングチーム)と日吉愛華(Limited Team 846)の二人が関西シクロクロスの2021-22シーズン、カテゴリーL1を引っ張ったというのは間違い無いだろう。全日本選手権のU17でも争った二人は関西シクロクロスシリーズでも両者が揃った試合では毎回争いを見せ、L1の本選手を置き去りにする走りを見せることもあった。西原夕華(トーヨーサイクリングチーム)は独走をする試合もあり、最終戦では石田唯(早稲田大学)に先行された形でのゴールとなったが、日本国内でもトップ選手の1人である石田唯(早稲田大学)を相手に互角、もしくはそれ以上の走りで応戦した。

序盤から好調で、全日本選手権タイトルを狙った赤松綾(Ayabikes)は怪我により全日本選手権を含む後半戦を欠場。最終戦の田中養蜂場桂川ではコースマーシャルを行いレースに貢献。実力はあるだけに、来季は万全の体制で臨みたいところだ。
全11戦を開催した関西シクロクロス。
昨季はシリーズ全戦を開催する事ができずに終わった関西シクロクロス。2021-22シーズンも参加者の減少が予想されていたものの、2019-20シーズン並みにまでエントリー数は回復した。「序盤の数戦では毎回救急搬送される落車が相次いだため、スタッフ間での安全情報の共有を徹底するなどに気を配った事、安全あっての楽しいレースなので来季もその辺りは十分に気を配っていきたい。」とオルガナイザーである矢野淳(関西シクロクロス実行委員会)さんが語る。
「マスター世代の増加は例年通りだが、来季以降、ジュニアやアンダーなど若い世代に参加してもらえるようにしたい」と新しいシーズンに向けてのコメントをいただいた。
感染症対策のため残念ながら千秋楽お決まりの集合写真撮影は無かったが、最終戦年間総合表彰式の後はDJがらぱさんの掛け声で締めくくった。
ほぼ毎週行われる関西シクロクロスでのシメの言葉は「また来週」。そして千秋楽戦でのシメの言葉は「また来年」だ。
ロード、マウンテンバイク、トラックといった競技の他ツーリングや他のスポーツなどに向かう参加者それぞれのサマーシーズン。それぞれの夏を過ごし、また10月、関西シクロクロスで。
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